弦の張り方
まず、弦を張らねば、ギターは始まりません。
買えばいちおう張ってあるけど、そんなものは信用してはいけないのだ(≧◇≦)
というわけで、自分流の張り方を公開します。
高音弦
弦の片方の先端をむすび、余分をカット。
結んでない方から本体側の穴に入れて、結んだ方をグルグルしてセット。
1、2弦は3周ぐるぐる、3弦は2~3周ぐるぐる。(多すぎると感じても3周した方が安定する)
ぐいっと引っぱって、ぬけないことを確認したら、糸巻き側へ。
低音弦
本体側の穴に通して、爪でおおざっぱな折ぐせを二箇所つける。
細かいことを気にせずに、ザックリとセット。
ぐいっと引っぱって安定を確認したら、糸巻き側へ。
糸巻き側
糸巻きには、裏から穴に通して、一回減に巻き付けるだけ。
あとは巻き上げれば安定します。
◆
高音弦の先端を結ぶやり方は、「結び目が穴に入ってしまうとぬけなくなる」というトラブルもあるらしいで気をつけて。
しかし、結び目は、つるっとぬけないためのストッパーになり、いちばん安定する方法と思います。自分はずっとこれでやってます。
弦交換のタイミングについては、クラギ弦はわりと安いので、なるべく積極的にいく姿勢でぜひ。
最低でも年に2回。
ガンガン弾く人の場合はへたるのが早いので1~2週間で換えてしまうこともあるみたいですが、アマチュアなら2~3ヶ月が基本かと。
自分の場合、だいたい1ヶ月くらいで最初の活き活きした感じはなくなるんだけど、そこから「むしろこのゆるさがよくね?」と、足になじんだ革靴みたいなフィーリングでずるずる使い続けて、しかし3ヶ月になるとさすがに音が凡庸になってきて交換、というムーブ。
弦交換のタイミングで、ナット(ヘッド側の白いやつ)とサドル(本体側の白いやつ)を、少しヤスリで削り、弦高を下げてみるのもおすすめ。
やはり弦高の高いギターは弾きにくいですから。
しかし下げすぎると、クラギらしいビブラートが効かなくなり、最悪、弦がビビってノイズが出てしまう。
このへんも経験しないとわからないことなので、安ギターのうちに失敗を怖れずお試しすることをおすすめします。
下げすぎたと思ったら、紙を細く切って、サドルの下にはさむ、で修正できます。
コピー用紙って、500枚の束で厚さ5センチとして、一枚約0.1ミリ、実際はそれ以下ですよね。
しかしそれ一枚はさむだけで、弾き心地は明らかに変化しますから、クラギがどれだけ繊細な楽器かよくわかります。
おすすめ弦メーカー
まず「ロー」とか「ライト」とか「ミディアム」とか「ハード」とか、張りの強さを示す言葉があります。これは説明不要でしょう。とりあえず中から張っとけ、ってことで。
メーカーについてはいろいろあるけど、とりあえず知っておいて欲しいのは、以下の古参三社かと。
あくまで個人的な主観で、語りつくしてみる。主観しかないのだよ、こればかりは!!
ダダリオ社
ダダリオ社 プロアルテ EJ45(ノーマルテンション)¥1140(税込)
ダダリオ社 プロアルテ EJ46(ハードテンション)¥1120(税込)
ハズレのない中庸ということなら、ダダリオ社のプロアルテで決まりかと。
バランスが良いし、正確だし、音色がつややかだし、欠点がない……はずだったんだけど、4~5年間だったか、輸入業者が替わったらしく、急に価格がはね上がってしまいました。以前は「最安」というメリットもあったんですが。
でも逆に、安かったころを知っている人は「標準入門弦だろ」となめがちですが、ダダリオはバイオリン・チェロでも定番標準となっている本当本物の弦メーカー。自分もいろいろ試してみても、やはりプロアルテのナイロン弦のつややかな高音の音色にまさるものはなく「他社を試して、ここに戻る」をくり返していたときがありました。
ちなみにノーマルより強いプロアルテハードは、張りがさほどでもないので、指に余裕があれば視野に入れていいはず。自分はしっかりメロディを立たせたくて、ノーマルセットに1弦だけハードを張る、ってこともやっていたことがあります。
オーガスチン社
杉のギターなら、これを試したい!! 合板でもぜひ!!
プロアルテが真面目な市役所的としたら、オーガスチンはわくわくディスニーランドみたい。
音が楽しい。
へんな表現だけど、これはみんなが言っていることだし、張ればきっとわかると思う。セゴビアが愛用していたらしいけど、これでセゴビアみたいな音が出せるわけではない、ってのはしかたないよね。
ただし、杉のギターなら楽しいばかりなのに、松のギターに張ると、みょうに堅くて弾きづらくなることも体験したことがあります。万能ではないんだなと感じてしまった。
自分は、インペリアルレッドの少し日数が経って緩んできたあたりの自然な音色が、今はいちばん好き!!
(インペリアルレッドとは、高音3本インペリアル、下3本は赤ラベルとおなじ、っていうセットです)
ハナバッハ社
こちらハナバッハ社の弦は、松のギターにむいている、というのが個人的持論。しなやかで、奥深くて、松の松脂っぽい粘り感とマッチング。
しかしシダートップに張ると、スピード感がなくなって、野暮ったい音になりがち。杉派の自分としては、使ってみていいと思ったことはないです、すみません。
ハナバッハでも、高級シリーズならどっちにも使えるみたいだけど、やっぱりお値段が……
ちなみにハナバッハの弦はしっかりした「振動感」がウリなので、じつは黄色(スーパーロー)が思いのほかいいらしいです。指にやさしいので、興味のある方は試してみてください。
フロロカーボン弦
フロロカーボンという新素材の弦があります。硬度と強度が高い素材で、むしろ高級釣り糸として有名かと。
クラギでも、細くて弾きやすく、きらびやかな音が魅力、ということで人気あり。サバレスというフランスメーカから人気弦がいろいろ。その細さを利用して、3弦だけカーボンにする、なんてことも昔、はやりました。
自分もいろいろ試してみたけど、今はもう使っていません。マイク録音するようになってから、爪が弦に当たるカチッという接触音が気になって。
フロロカーボンは、張ってすぐは、まあわりといいんです、ていうか、最初の一週間くらいの芯のある表現力はすごいと思う。
が、時間と共に、ゆるくだらけてくるナイロンとは逆に、だんだん繊維が引き締まって硬質化してくるのです。
上手な人は右手のタッチの工夫で解決できることなのかもしれませんが、自分の場合は硬質化してくると、カチカチ山のタヌキみたいにカチカチ音がでまくってしまう。
そうなってしまうのが、思いのほか早くて。
おそらく2週間交換ペース人なら、利点だけを活かせるかもしれないけど、2ヶ月交換ペースの自分には、やっぱむりでした、すみません。
その他のメーカー
他にもいろいろメーカーがありますが、とりあえず杉や合板ならプロアルテとオーガスチン、松ならプロアルテとハナバッハ、こいつを経験してから、余裕があったら他を探っていく、ってことでいいと思います。
エレキで高評価のGHS社は、新素材チタニウム弦が安く試せますね。ナイロン弦とは少し異なる、しなやか、かつ明瞭な音色は、はまればはまるはず!?
ムリエル・アンダーソンは、米国の美人ギタリスト、少しカントリーも入った前向きな演奏が素敵。自分、曲集持ってます!!
ラベラ社 エリート ブラックナイロン&ポリッシュゴールド(¥1280 税込)
イタリアのラベラ社は、もともと地味メーカーのイメージでしたが、最近はノイズの少ないポリッシング弦が安価で好評、エレガットではすでに定番という話も!?
他に、自分はメディナ・アルティガス(MedinaArtigas)というアルゼンチンの弦がすき。しなやかでふくよかな方向性の現代弦。よく歌えるけど、ヤワなわけではなく、低音から高音へのバランスも理想的。まさに音楽をわかっている人たちが作ってらっしゃる、とひしひし伝わってくるもの。ただ、あまり売ってないんですよね。わざわざ通販で取り寄せるほど、大きなちがいがあるというわけでもないし……
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ちなみに、ナイロン弦は、欠年劣化します。
数ヶ月では違いを感じないけど、数年前の買い置き品を張ると、音程ガタガタで使えないものになっていたりします。
安いからって、まとめ買いはおすすめしません。
一回の購入は2〜3セットにとどめて、新鮮なやつをぜひ!!
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